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★稽古に役立つ書籍紹介
 中島が武術の稽古をする上で参考になった本たちです。


『縁(えにし)の森』(甲野善紀・中島章夫 共著) 合気ニュース
◆ 甲野善紀が中島を聞き手に、子ども時代から武との出会い、人との出会い、技の変遷を語っている。稽古をどのように行ってきたか、また行っているかの稽古論としても読める。

『不安定だから強い 武術家・甲野善紀の世界』(田中聡 著) 晶文社
◆ 甲野善紀の稽古と思想の本質に迫った本。稽古を受ける側として「教えない稽古法」にどのように向き合えば良いか、についてもたくさんのヒントが得られる。まだ技を体験していない人にとっては、甲野善紀本人の著書よりわかりやすいだろう(怒られるかな)。入門書としても最適。中島の稽古へのアプローチも紹介されている(宣伝です)。

『ナンバの身体論〜身体が喜ぶ動きをす探求する』(矢野龍彦、金田伸夫、長谷川智、古谷一郎) 光文社
◆ 桐朋式ナンバの成果がコンパクトに紹介されている。後半、ナンバ導入の過程が苦労や失敗談とともに語られていてバランスのとれた一冊となった。ナンバの身体が素材であることを再認識させられた。
★ 関連書籍『ナンバ走り』(光文社新書)、『ナンバ式骨体操』(光文社)、『ナンバ健康法』(三笠書房)

『ナンバのコーチング論』(織田淳太郎) 光文社新書
◆ 「常歩(なみあし)・二軸」理論を中心に、現代のナンバ論を下敷きに日本のスポーツの問題点を指摘する。特にナンバの本質、語源に関しては、新しい視点を提示していて、最近出版されたナンバ関係の本の中ではもっとも充実している。

『「わからない」という方法』(橋本 治) 集英社新書
◆ 作家の橋本治がこれまでやってきた仕事を例に、「わからない」から始めたやり方を書いた本。「わからないからやってみる」という態度は武術の稽古をするための大きなヒントになる。同時に人に伝える(教える)側も、相手が変われば「わかっていた」はずのことが通用するとは限らないわけで、「わからない」からこそ新たな発見もあるわけである。本の最後に、この「方法」の基盤は「身体の記憶」にあるということが明らかにされる。どうりで武術の稽古に役立たつと思ったわけだ。

『上司は思いつきでものを言う』(橋本 治) 集英社新書
◆ こちらは『わからないという方法』で少し触れている会社組織のことを中心に論じた本。会社に限らず組織化すれば起こる問題を提起している。それは上に立つものが「現場」を離れることからはじまる。わたしたちのことで言えば、小さな稽古会でも人が集まれば他人事ではない。またこの本(『わからない〜』もそうだが)のいささかくどい書き方そのものが、ものごとを人に伝える方法を示している。大なり小なり、人を指導する局面での心構えとして読むと、腑に落ちることも多い。

『自暴自伝 ポンタの一九七二→二○○三』(村上“ポンタ”秀一) 文芸春秋
◆ ジャンルを超越したドラマーのデビュー30周年記念の語りおろし自伝。以前から氏の練習方法に注目していた。「『練習はしない』って言うと、誰もがウソだって信じてくれない。でも、本当なんだ。」で始まる「練習してもドラムは歌ってくれない」という章から数フレーズを引用すると、「練習じゃなくて、『研究』はたくさんしたよ。たとえば右足でベードラを踏む時って、とにかく腰に負担がくる。試しているうちに、どうやら椅子が低いせいで踏み込みすぎるんだと気がついて、今度は椅子を高くした。そうすると脚を落としさえすればいいからね。ただ、それだと大きな音は出ない。最初『ペタペタ』いってたのが、『ド、ドド、ドゥドゥ、ドゥン、ドゥン!』と鳴るようになるまで、半年はかかったよ。でも、そういうのは練習じゃない。鳴らし方を研究して、鳴るまでやればこっちの勝ち。体はすぐにおぼえるからね。おぼえてしまえば、あとは楽勝よ。」(ちなみに「ベードラ」とはバス・ドラムのこと)

『身体から革命を起こす』(甲野善紀+田中 聡) 新潮社
◆ 甲野先生を俎上に置いて、「ナンバ」を代表とする身体と感覚という角度から田中氏がみごとにさばいてみせた。甲野先生の動きに接したさまざまな分野の方々への取材記事は、それぞれの専門分野を歩いてきた道程が、自然に今の日本の抱える問題を浮き上がらせる。同時にどのように稽古するかという実例集でもある。特に舞踊家・山田うん氏、フルート奏者・白川真理氏のアプローチは新鮮だった。(中島としては、近ごろ否定されがちな「武智ナンバ」の歴史的位置づけがされていて、ちょっとうれしい)

『先生はえらい』(内田 樹) 筑ちくまプリマー新書
◆ 甲野先生とも仲良しの内田先生の文章は本当におもしろい。学びの本質は「誤解」である、という。この新書シリーズは中・高校生対象だというので、気軽に読み始めたのだが、ところがドッコイ、これは甲野先生から武術を学ぶとはどういうことか、について書かれた本であった! 「必勝の兵法」についても学べるおまけ付き!!(と誤読してみる)

『ナンバの効用』(小森君美) 徳間文庫
◆ 甲野先生の「この本を実践するのは才能がなくては難しい」という推薦しない(?!)推薦文つきの不思議な本(笑)。しかし現役でスポーツを実践している人には案外わかりやすいのでは、と思われる。というのは小森先生の松聲館の技法を中心にしたナンバ動作への取り組み姿勢が、指導者の立場というより実践者として描かれているからだ。また稽古ということでいうと、師の技術をどう自分のものとして血肉化してゆくか、という見本でもある。特に6章はものごとを学ぶ立場の者は必読。

『セルフメイドの世界 私が歩んできた道』(岩城正夫) 群羊社
◆ 著者は古代技術の復元実験というジャンルを切り開いた人。本書はその集大成ともいえる。発火法、矢じり、石器、古代の弩(クロスボウ)などの復元の話のほか、手作りしてきた様々なものとその過程が書かれている。技術の復元とは、わたしたちが武術の技を自分の体の中に再現すること(つまり稽古すること)と重なる。ここに書かれた試行錯誤、アプローチは、技術を身につけようとしている人たちには大いに参考になるだろう。特に本書のそこかしこに溢れている、著者の「過程を楽しむ姿勢」は見習いたい。
収録されている論文「人は物作りでどんなことを獲得するか」は、学びの本質を、「古代技術復元実験再論」は甲野先生の、古武術を研究しながらも自身は創作武術であることの意味を教えてくれる。また、内容とは関係ないが、本書に掲載されている多くの図の中に、ご子息である漫画家、岩明均氏の高校、大学時代に描かれた絵が混ざっていて、『寄生獣』のファンとしては、小さなイニシャルを手がかりにそれらを探すのも楽しい。


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